こんにちは、きんどるどうでしょうです。遂にはじまった電子書籍読み放題サービスをめぐって場外乱闘や議論が興味深いのでシェア。
Kindle Unlimitedに詳しく無い方は問題の全体をザックリ解説しているライター・鷹野さんの『Kindle Unlimited開始でKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)冬の時代が到来? 出版社が優遇され過ぎ』という、個人出版物と出版社の商業作品の格差についてのエントリーを読んでください。
この問題について、わたしは外部の立場から見て概ねおなじ認識をもっています。その上で、読み放題をどう使えば電子書籍でたくさん儲かるかなぁという視点しかもってなかったので以下の殴り合いが非常にきになる。
Kindle Unlimitedは公正なのか公正取引委員会に問い合わせてみた
「Kindle Unlimitedの参加条件について、あまりに出版社と個人作家の間で格差が大きすぎる。公取委に公平性を確認したいので詳細を聞きたい」という問い合わせをAmazonにしたところ「回答は12日まで待って欲しい」という返信をいただきました。現場からは以上です。
— 幾谷正@【C90】3日目東パ-52a (@armordoll_alive) August 7, 2016
僕が不公平性を感じたのは「出版社の電子書籍はマルチストア展開していてもKUに登録できてるのに、個人出版の作品はセレクトへの登録(つまりは独占販売)が条件になってるのおかしくない?」って部分だったので、そこもちょっと触れてほしかった。 https://t.co/9qzPhA8Mex
— 幾谷正@【C90】3日目東パ-52a (@armordoll_alive) August 8, 2016
いやぁ、本当にナルホドと思わせるアプローチ。たしかに、個人は読まれたページ数×固定費で、出版社は10%読まれたら定価というのは公正な競争とは言えないですわなぁ。市場のルールを決めるのはAmazonとは言え、たしかにこいつはあんまりだわ。
ITmediaの記事『Kindle Unlimitedは出版側にとって神か悪魔か』では”同人誌では一冊24ページでも500円程度の値付けが標準的。そして売れればその大半が作家の収入になるのに対し、Kindle Unlimitedでは一冊読まれても約20円しか作家に報酬が入りません”なんてコメントされてますが、これが出版社経由だと10%読まれたら500円で売れたカウントなんだもの。
12日までにされるAmazonの回答を注意深く待ちたいですね。
追記:全然別件の通販事業でアマゾンが公正取引委員会の立ち入りを受けたようです via 8月8日の記事 日経新聞 公取委、アマゾンに立ち入り 事業者を不当拘束の疑い
電子書籍ビジネスに取り組むマンガ家・佐藤秀峰さんが鷹野さんを嘘つきと言っちゃう
Kindle Unlimited開始でKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)冬の時代が到来? 出版社が優遇され過ぎ:見て歩く者 by 鷹野凌 https://t.co/THgDKjr1EF
内情を知る者としては、かなりの嘘と憶測が含まれています。— 佐藤秀峰 (@shuho_sato) August 7, 2016
『ブラックジャックによろしく』『海猿』などを代表作に持つマンガ家・佐藤秀峰さんは自身でも電子書籍ビジネスに取り組んでいます*。その立場で、鷹野さんの現状分析を嘘と憶測と言い切っちゃった。
この件に関して、佐藤秀峰さんは自身のFacebookで補足のコメント。鷹野さんはそれに対する反論を公開
外部から見てる限り、佐藤さんの電書バトは取次サービスだから個人(KDP)とは扱いが違うんだよなぁ……ということで、勘違いの上でのコメントに見えるから、ここは素直に誤りを認めた方がとおもうんですよねぇ。
何より、両者が事例として取り扱ってる陽崎杜萌子さんは佐藤秀峰が主催するWEBコミック誌『漫画onWeb』に参加してるから板挟みになっちゃってそうで可哀想だ。ただ、本件はまだ継続中なのでみなさんも興味深く見守ってもらいたい。
@ryou_takano ご丁寧にありがとうございます。ご自分の矛盾に気が付かないのか、気が付かないふりをしているのか分かり兼ねますが、私の意見は変わりません。
ちょっとお時間をいただくかと思いますが、後日、反論させていただきます。— 佐藤秀峰 (@shuho_sato) August 8, 2016
※参考:電子コミック「11円」セールで売り上げ3億円超 トップ作家に印税1億3000万円 「常識打ち破る数字」/「電書バト」電子コミック11円セールで売上総額3億円超の衝撃とAmazonのエブリデーロープライス戦略
唯一のKDPベストセラーマンガ家・鈴木みそさんがUnlimitedから撤退を示唆
3日間売れ行きを見ていましたが、Amazon読み放題は、KDP作家にとってあまりに厳しい数値なので、1巻以外は引き上げることにしました。すいません。今から数時間で、2巻以降は有料になります。引き続き1巻も引き上げるかもしれません。読むなら今のうちに。
— 鈴木みそ (@MisoSuzuki) August 5, 2016
「Kindleセレクト」を外すのに最長3ヶ月かかるので、Kindleの本の料率を70%から35%に下げたのはちょっと勇み足だった。「レンタル本の支払いは翌月」ということなので、しばらく様子をじっと見守っております。じー。
セミか。— 鈴木みそ (@MisoSuzuki) August 6, 2016
いやねェ……ホントにわたしも自著がKindleUnlimited対象ですが、まったく儲からないんですよねぇ。読まれた数字はギュンと伸びましたが、数万ページ読まれて数千円だもんなぁ。
適当にネットから画像をとってきて写真集を著作権無視して販売してる業者のほうがよほど儲かってるんじゃないかと思うよ。正直、マジメにやってる人がバカを見るような現状について不快。
Kindle Unlimitedを使うより、取次業者経由でKoboやBookLive!で値下げしてKindleプライスマッチの差額で儲けを狙うほうがお金になる*んだぜ。アホらしい。
あとなぁ……わたし自身読み放題に対して当初はKDPに前向きに捉えて同人誌のKDP化なんかを促してたので、

どうも蓋をあけるとかなり厳しい状況になっているのが申し訳ない。マジメにやる人が同じ土俵で戦えるようになってもらいたいもんですわ。
その他、Kindle Unlimitedに関する識者の興味深い意見
Kindle unlimited は富裕層向けサービスか。まあ違うでしょう。プア向けかともいえない。プアでもちょっと手が届くくらい。で、そこから得られる文化性のメリットはというと、各人の教養差によるでしょう。で、その教養差は貧富に関係はしてるかも。ただそこは個人差でしょう。
— finalvent (@finalvent) August 7, 2016
マンガ家ユニット「うめ」の小沢高広氏が「Kindle Unlimited」から電子コミックの未来を紐解く! https://t.co/gJ2pG4rmCV いまだ出版社からなんの説明もないんだけど、もし説明があったらNDA的に話せないことも出てくるので、結果良かったとする(笑)
— うめ 『スティーブズ⑤』7/29発売 (@ume_nanminchamp) August 5, 2016
Kindle Unlimitedが始まったことで大多数の人は定額の本を読む時間を増やすために買った本を読む時間、最悪では本を買うことに時間を割かなくなるかもしれない。そのためには買うことそのものに価値のあるアイテムを作らないといけない気がする
— Ciron (@Ciron460) August 5, 2016
kindle unlimitedの工口漫画はモザイク追加で入ってるので、ないのが良かったらDMMなり書籍なりをおすすめしますよとだけ言っておきますね。念のため。
— まなめ (@maname) August 3, 2016
また、気になるモノがあれば随時追記していきますね。
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